ネッツペックコートレンズ「Revra:レブラ」は
b.u.iの製造元の製品名で同一機能の製品です。



波動光学を応用したパソコン用レンズ ( b.u.i )

  技術者向け情報

 これからお話しすることは画像工学系の内容が含まれており、やや難しくなりますがパソコンを多用する技術系の方にとって有意義な情報かと思われます。
 現在販売されている特殊なパソコン用メガネレンズの説明が、かなり専門的に販売されているところでもメーカーの解説どおりで正確に説明されておりません。かつて画像処理技術の最前線にいた者としてこの状況を放置できなくなりましたので、ここに調査結果を踏まえて解説させていただきます。
 
いわゆる「眼精疲労」防止レンズについて
現在インターネットで検索キーワードに「眼精疲労防止レンズ」といれると、数多くのメガネ店のホームページにおいて「b.u.i」という商品名のレンズが出てきます。以前からメーカーの広告などでその中の「雲膜現象」なる説明を読み、あらゆる専門の光学技術関連書籍や資料を見ましたが記載がなく疑問に思っていました。さらにマニュアル説明中に「ピンホール効果でコントラストが向上する」とありますが、ピンホール状態は肉眼でその効果を十分に感じることができるためには光の通過穴以外は光を100%遮断する必要があり、レンズのコーティング面での光の透過率がそれぞれ90%を超えるのでは「ピンホール効果」という表現はニュアンスが異なるかと思われます。販売側が納得できない商品をお客様におすすめするわけにもいかなかったので、当店での取り扱いも控えておりました。
 ところがある日のこと、木内雄二先生(拓殖大学名誉教授)の監修された「画像入力技術ハンドブック」という本を調べていたところ、光学ローパス・フィルタの説明で位相フィルタが記載されていることに気づきました。不連続形状のパターンを持つ光学特性についてb.u.iとの類似性に気づいたものですから、その後数ヶ月にわたりメーカーの説明とは一線を画して独自にb.u.iの有効性を調査してみました。
光学ローパスフィルタ
ある周波数以外の入力信号を遮断するフィルターで、低域周波数のみの信号を通過させるフィルタ。
位相フィルタ
位相差を与える透明な薄膜をストライプ状に形成したもの。色で異なるカットオフ特性が得られ、理想的特性が得られやすい。
 この両フィルタは現在皆さんが使用されているデジカメの内部にあるCCDやCMOSの撮像セルの前面に使用されています。デジカメの場合は光学ローパスフィルタと位相フィルタ、赤外線カットフィルタを組み合わせて使用します。これらを入れると高周波ノイズによる色ズレやモアレ像を取り除くことができて画質が向上するため、高画質デジカメに無くてはならないものです。

 通常の位相フィルタはストライプ状に蒸着した金属皮膜を配列させて指向性を持たせ、鉛直方向に対してカットオフ特性を得るのです。直交方向に2つ設置する理由は、撮像デバイスの1画素の形状が正方格子に配列された四角形だからです。位相フィルターを入れないと画素サイズの小さい高密度CCDやCMOSでモアレ現象による干渉が起きてしまい、色ズレのために画質が低下してしまいます。

 b.u.iに施されているNPC(ネッツペックコーティング)は6角形のハニカム構造を呈しているので構造的には不連続面で似ていますが、位相フィルタの概念が100%当てはまるものではないようです。資料*1によると、赤外線吸収コートの使用で斜行方向から入射する光線の減光効果があるようです。
 ハニカム構造にすることで指向性を無くし、比較的波長の短い入射光線は無指向性の一様な散乱を起こすようにできていますので、単に光学ローパスフィルタとしての特性に近いのかとも思えます。メーカーの公表する上の図の「雲膜現象」とは、この光の散乱を指しているのでしょう。

 デジカメは撮像デバイスに光が届いたら本体のメモリ上で各種の画像補正処理によって鮮鋭化されるので、出力画像は輪郭のはっきりしたものになりますが、メガネの場合はそうはいきません。ピッチの細かい赤外線吸収特性をもつハニカム・コーティングをしていますので、ある範囲で高周波ノイズをカットして可視域でのコントラストを向上させるのではないでしょうか。さらに散乱光はレンズ後面のNPCコーティング面で単位面積あたり60%吸収されるので目に入りにくい効果があるものと思われます。光の量というより光の質がかなり変化しています。
 NPCレンズの特徴はつぎのようになります。
  1. 赤外線吸収皮膜がコーティングされている
  2. ハニカム構造の面積は0.086m㎡、厚み50nm、単位面積あたり60%にコーティング
  3. 分光透過率において500nmで93.4%、550nmで94.55% (下記の分光透過率グラフを含め「新しい眼科 Vol.22、No.8,2005*1より引用しました)
  4. レンズの光学素材は400nm以下をカット
デジカメに使用されている撮像デバイスの感度ピークレベルはやや赤外域にあることから、赤外カットフィルタを入れないと可視光との合焦位置がダブルために必要です。しかし肉眼は可視光の明所で555nm、暗所で507nmにピークがあることからレンズそのものを赤外完全カットにする必要はありません。
 通常の光学レンズは表面に均一なコーティングを施せばレンズの表面反射は僅少となlり、損失する光量が減少するために明るくなります。通常のマルチコートレンズの可視光における同周波数帯域の分光透過率が98%であることから、約5%程度吸収しているようです。レンズに何等着色することなく肉眼の可視域ピークレベルの光量を減らすので、光刺激を和らげることが可能です。またレンズ表面の単位面積あたり60%に赤外線吸収皮膜が蒸着されているので赤外カット効果もあります。さらにレンズ素材は紫外線吸収物質が練りこまれているので、400nm以下は完全カットです。

 筆者がb.u.iで注目しているのは先のハニカム構造よりも、このレンズの分光特性にあります。500nm~555nmの人間の被視感度のピーク領域の入射光量を5.5~6.6%近く減衰することで、無色ではあるが眩しさがわずかに押さえられているという特徴です。極論するとハニカム構造を形成しなくても、この分光特性を持ったレンズはいくらでも製作できるのではないかと思うからです。

 以上のことを総合して考えると、b.u.iは紫外域と赤外域をカットし、さらに光学ローパスフィルタ効果を複合化した機能を装備しているかと思われます。光学ローパスフィルタ仕様のレンズは、画質を悪化させる高周波ノイズ成分(たとえばスパイク状ノイズ成分)を減衰させて画像を平滑化する作用があります。ハニカム状の面積が極めて小さいことから、透過域である低周波成分の量はさほど極端に像を劣化させるような状態ではないと思われます。

 もしそうだとすると、これはメガネ業界にとって画期的なことだと感じましたので当店でも取り扱うことにいたしました。これまでのメガネ業界は幾何光学的に如何に収差を減らしてコントラストを高めるかということを推し進める傾向にありました。このような波動光学の概念を取り入れた製品開発は歓迎すべきことでしょう。


 ただしこのような波動光学を応用した商品のため、消費者のみならず肝心のメガネ技術者に正しく理解されにくい可能性はあります。インターネットの掲示板においてもこのレンズの効果があったとか無いとか論議されており、このレンズ自体を疑っているメガネ技術者もたくさんいるようです。NPCにより視界全体のコントラストを下げるのではなく、輪郭周辺のエネルギー強度の強い部分の高周波ノイズを減衰させる理屈が理解できれば、このレンズを理解できるでしょう。


 実は空間フィルタリングの概念を持ってすると光学ローパスフィルタは万人に一様に効果があるとは思えません。眼の結像系パラメータ、視神経伝達系パラメータ、両眼視中枢機能パラメータなど視力を構成する多くのパラメータの中で、少なくとも結像系パラメータのみを考えてもメーカーの初期設定したNPCのハニカム構造のサイズや配置間隔等だけで万全とは思えないからです。この部分は当方でメーカーに提案を行っていく予定です。


 また目そのものに高次収差がある場合も効果が弱いと思われます。少なくともメーカーの設定値に基づく固定パラメータで均一に製造されており、顧客一人ひとりのMTF特性に合わせて特注しているわけではないので、メーカー設定値の範囲内で有効ではないかと考えます。視力の調整やご使用環境によっても効果が大きく左右されてしまうかと思われます。

 ですからNPCを施されたレンズの販売は通信販売の対象にはならないでしょう。つまり通常のレンズとこの波動光学を応用したレンズを同じ次元で認識し、レンズ度数の数値だけで処理されているとしたら、CS(Customer Satisfaction 顧客満足度)はかなり低いものとなります。顧客には何が違うのかがまったく理解できないかと思われます。
当店で独自に調査した結果をまとめます。
まとめ
  1. b.u.iは光学ローパスフィルタの1つであり、効果の検証は左右両眼の正確なレンズ度数および眼位が決定されていることが第一条件です。また視力検査時に実際にb.u.iレンズでテストすることが必要です。特定の条件や目の構造により効果がある場合と効果が弱い場合、効果が無い場合があります。
  2. b.u.iは特殊な分光特性により長時間パソコン画面を見続ける作業に向いています。着色無しに数%減光(限度はあります)できるので、特に色を見る作業の方に最適です。背景が黒っぽく文字が明るいような画面には、バックグラウンドの黒味が増すことで明るい文字のコントラストが向上します。
  3. b.u.iは特に空間周波数の高周波成分の特定領域を除去し、光の滲みを抑えることでS/Nが向上します。したがって1600x1200~1920X1200画素といったWUXGA相当のフルHD画面を使用する状況の作業に適しています。コントラスト比1000:1以上のスペックの画面を見る作業にも適しています。
  4. モバイル系の小さい画面の文字を見る場合(老眼でない場合)にも効果があります。
最新技術情報第2弾

 b.u.iの重要な特徴であるローパスフィルターとしての性質をさらに科学的に分析する研究を行いました。単にメガネという次元を超えた内容であり、技術系の方の好奇心をそそる内容となっています。この方法での実験はb.u.iの製造メーカーも公表しておらず、恐らく日本初の試みとなるものと思われます。こちらと合わせてご覧ください。


最新技術情報第3弾


 これまで10年もの間、buiの供給側・製造側も含めてその効果測定方法が確立されていませんでした。そこで3年前より地道な研究を行い、メーカーが成し得なかった測定方法と測定システムの開発に成功いたしましたので詳細情報をアップいたしました。これまでのbuiの概念と異なる新しい情報も掲載されていますので是非ご覧下さい。

buiレンズは高度な技術を駆使する当店に
ご相談ください。




当店では上記の各種分類に適したレンズを各種ご用意しております。パソコン用メガネはIT系に精通したSS級認定眼鏡技術者資格取得者がご相談に応じておりますので専門的な内容のご質問もお受けしております。

資料*1 (株)メディカル葵出版 入江都・山本香織・堀貞夫共著「新しい眼科 Vol.22、No.8,2005」




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