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ネッツペックコートレンズ「Revra:レブラ」はb.u.iの製造元の製品名で同一機能の製品です。

 これまでb.u.iの重要な特徴であるローパスフィルターとしての性質について述べてまいりましたが、言葉だけでの説明では画像工学に触れていない方にとって理解が困難である可能性が高いので、ここではよりわかりやすくビジュアルなプレゼンテーションを行いたいと思います。

 画像の輝度分布から空間周波数特性を分析する手法に2次元FFT(高速フーリエ変換)という方法があります。これはDFT(離散的フーリエ)を計算機で高速に計算させる手法です。この手法を使って2次元のパワースペクトルを抽出し、画像中に含まれる周波数成分の分布状況を検出することで「b.u.i」レンズを使用した場合の画像にどれだけの違いがあるかを調べてみました。この方法での実験はb.u.iの製造メーカーも公表しておらず、恐らく日本初の試みとなるものと思われます。


1.実験の準備

使用カメラ
使用レンズ
画像処理ソフト
画像解析ソフト
Panasonic DMC-LX3 (1010万画素)
b.u.i 1.5 (0.00Dpt)球面レンズ
Adobe PhotoShop CS3
MeeSoft ImageAnalyzer Ver1.3


2次元FFTで抽出されたパワースペクトルの見方
画像の空間周波数分析により低周波成分の領域は中心部分に分布し、高周波成分は表示窓の四隅に分布している。


2.サンプル画像

 PanasonicのデジカメDMC-LX3を使用して通常の画像を撮ったものと、デジカメのレンズの先にb.u.iをつけて同一の対象を撮ったものを用意しました。デジカメにPanasonic DMC-LX3を採用した理由は、同製品はマニュアル撮像が可能だからです。もし一般的なデジカメを使用すると絞りもシャッタースピードも全て自動になってしまうため、同一画像であっても同一条件にならない可能性があるので科学写真の場合はマニュアル仕様のカメラを必要とします。

 撮像の実際には「b.u.i無し画像」と「b.u.i有り画像」を連写モードにて4枚ずつ用意しました。これは画像の1コマに個別のノイズがどの程度あるかを確認するために同一条件画像を全て比較するためです。今回は解析画像の定性分析のために行いませんでしたが、定量分析ならば4枚の画像を積算平均化して画像のS/Nを上げて行います。

 同一条件の画像の比較分析は、まず2次元FFTをかけて抽出したパワースペクトルの画像を個々に用意 [ 画像1]し、一部をカットアンドペーストして輝度を反転 [ 画像2 ]してから透明度を50%に下げます。もしどちらかの画像に時系列の変化があるとしたならば画像中にレリーフのようなスポットが浮かんできます。今回の画像を検証した結果、そのような変化はありませんでした。


 通常のデジカメには撮像素子の前面に赤外カットフィルターおよび位相フィルターが内蔵されているのでb.u.iの赤外線吸収特性は測定できません。赤外カットフィルターを装着していない極めて特殊な科学計測用のデジカメを使用する必要があります。

[ 画像1 ]
[ 画像2 ]


3.「b.u.i無し画像」と「b.u.i有り画像」の比較

 上記の方法で「b.u.i無し画像」と「b.u.i有り画像」の差分を検出したものが [ 画像3 ]です。

[ 画像3 ]

 中央付近に何やら微妙なスポットが出ているのがわかります。高速フーリエ変換で抽出したパワースペクトル画像の中央付近は空間周波数の低域部分です。つまり「b.u.i無し画像」と「b.u.i有り画像」の周波数レベルで異なる部分(非対称成分)が検出されたことになります。高周波ノイズを減衰し、低周波成分を透過させるb.u.iの特性がローパスフィルタであるというこれまでの当方の主張を裏付けるものです。実はこれをもっと見やすくしたものが下の[ 画像4 ]と[ 画像5 ]です。[ 画像4 ]はクリックすると大きな画像となりますので拡大してご覧下さい。


[ 画像4 ] 画像をクリックすると拡大画像を表示します
パワースペクトルの拡大画像
 一見するとどちらも似たように見えますが、注意深く見ると明らかに両者の違いがわかります。[b.u.i無し]画像のパワースペクトル(左)は全体に拡散しており、b.u.iを装着しない場合では装着した場合に比べて空間周波数の幅広い分布をしています。つまりb.u.iが低周波成分を透過するために拡散の度合いが小さくなっています。世界で初めてb.u.iを空間周波数で分析した画像です。

[ 画像5 ]

 上の[ 画像4 ]の中心から同心円(半円)にスケールを置いて両者の拡散状況の差を見やすくしました。このパワースペクトル画像のオリジナルはモノクロで階調幅が広い画像ですが、プレゼン用に対数変換してから擬似カラーで着色して見やすくいたしました。実際には両者の変化の差は僅差ですが、多くの眼鏡技術者たちの懐疑的な部分を払拭できそうです。


[ 画像5 ]

[ 画像6 ]
 [ 画像5 ]および[ 画像6 ]は[ 画像4 ]からそれぞれの画像を取り出し、極座標に変換してより比較を容易にしたものです。この画像から、いずれの象限においても[ b.u.i無し ]のほうが拡散分布が[ b.u.i有り ]よりもわずかに広いことがわかります。

4.まとめ


[ 図1 ]※1
 本来人間の視覚の空間周波数特性は全ての周波数に対して均一なコントラストを得ているわけではなく、限られた範囲で山型の特性曲線[ 図1 ]を示しています。つまり視覚特性はバンドパスフィルターの役割をしているということになります。この特性は加齢により変化いたします。
 パソコンの画面情報を縮小してレーザープリンターで印刷すると見づらいのは文字や画像の線そのものも細くなるので空間周波数が高周波寄りになるためです。人間の目では周波数が低いほうがコントラストが上がるので、b.u.iの主張するコントラスト改善機能はローパスフィルタリングによって実現するものであり、まさにそのとおりであると確信しました。
 ただし勘違いしないでほしいのは、焦点面の結像状態が悪い[ 画像7 ]ために低周波成分が増幅した場合はパワースペクトルを見るとほとんど低周波領域の極せまい部分に集中[ 画像8 ]してしまうので拡散いたしません。ですからレンズ度数が弱めの状態とは問題とする本質が異なります。

[ 画像7 ]

ピントをデフォーカスして撮像し、FFTによりパワースペクトルを抽出したものが右の[ 画像8 ]。情報が低周波領域に集中しているのがわかります。

[ 画像8 ]

 b.u.iは人により効果のほどが変わることは以前に述べておりましたが、このような空間周波数分析の結果からいろいろなことが考えられます。視覚特性に影響を与える可能性のあるものに光学特性・年齢・神経伝達系等があり、結像系は空間周波数の低域成分に影響を与え、高域成分は神経伝達系の影響を受けることがわかっています。

 最新の研究から、そもそも人間の眼球内部の光学系のそれぞれの光軸は共軸ではなく瞳孔中心とも一致していないことがわかってきました。カメラレンズの組み立てにレーザーを駆使して複数の構成レンズを正確に光軸調整しないと解像度が悪いレンズとなってしまいます。組み上がったカメラレンズの製品検査でMTF測定をするように、人間の眼もMTFの測定は詳細な視覚特性を調べるために有効かつ必要な検査かと思われます。

 b.u.iのように波動光学的な効果の上がるレンズがさらにカテゴリを広めて各種製作される可能性は十分に考えられます。しかしレンズだけでなく、そのレンズを選択するための測定方法の確立も急務であると考えます。当社の公表内容が僅かでも業界に貢献できれば幸甚です。




[参考文献・資料]
「画像の変換と処理」 道野 敏雄著/朝倉書店
「WEB / TOMEY CORPORATION営業部 Column 眼光鋭く『視軸と照準線』 / 魚里 博著」
※1は「WEB / IPS imaging-developers-視覚特性 」から引用しました。
 「ImageAnalyzer / MeeSoft」 web  http://meesoft.logicnet.dk/


最新技術情報第3弾


 これまで10年もの間、buiの供給側・製造側も含めてその効果測定方法が確立されていませんでした。そこで3年前より地道な研究を行い、メーカーが成し得なかった測定方法と測定システムの開発に成功いたしましたので詳細情報をアップいたしました。これまでのbuiの概念と異なる新しい情報も掲載されていますので是非ご覧下さい。


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当社の許可無くWEB,チラシなど他のメディアに勝手に掲載することは法律上できませんのでご注意ください。(2009.1.10)




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