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J-EYE/ブルーライト徹底研究
「可視光の波長別エネルギー」 |
●可視光のエネルギーレベルを波長別に計算すると...
「ブルーライトは可視光の中で最もエネルギーが強い...」といわれているので、例えば擬似白色(Yag系)LEDの励起光である460nm付近のピーク光のエネルギーや標準比視感度の最大値付近の波長である555nmのエネルギーがどの程度異なるか計算してみました。
高校の物理程度の計算で済みますが、電磁波の計算では単位がJ(ジュール)でなくeV(エレクトロンボルト)を使用しますので単位変換が必要です。
つまりプランク定数の単位がジュールですが1eVは1.602×10^-19(J)なのでプランク定数をこの値で割ると4.13566×10^-15(eV)となります。この数値と光速(C)を掛けます。ただし光速の単位がm/sであるとするとλはnmですので、べき乗を揃えると1.2398×10^3≒1240となり、公式どおりになります。
計算から擬似白色LEDの励起光のピークと比視感度のピーク波長光のエネルギー格差は20%程度であることが確認できました。ただしこれはあくまで波長別エネルギーにおけるアブソリュートな値です。
この式から460nmでは2.69eVとなり、555nmでは2.23eVですので約1.2倍となることから、擬似白色LEDの励起光と20%のエネルギー差があることがわかりました。この結果から、眼球内における散乱の数値モデリングに利用可能かと思われます。良く耳にする「眼内におけるレイリー散乱」の物理量の計算はどの程度意義があるかについてもそれなりに研究する予定です。 |
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●表示装置の波長別エネルギーの計算
上記の計算結果を拡張してCCFL(冷陰極管),B-Y/LED液晶,GB-R/LED液晶の各モニターのスペクトル実測値(相対値)から波長別エネルギーのSML分析を行ってみました。
可視光の波長別エネルギー量 E(λ)、相対スペクトルの強度Φ(λ)、各波長帯域(Sλ=380~505nm、Mλ=510~605nm、Lλ=610~780nm)とし各エネルギー量はE(λ)とΦ(λ)の積をそれぞれの波長帯域値で積分計算します。
この3帯域の根拠は人間の明所視比視感度ピークの50%(半値全幅:FWHM)を基準としています。この計算で各帯域の相対エネルギー強度がわかります。
ただし今回はヒトの網膜感度関数(標準比視感度)の要素を一切入れておりませんので純然たる表示装置の個体特性を探る内容に留めています。
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CCFL |
B-Y/LED |
GB-R/LED
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S |
39.5 |
172.2 |
64.4 |
M |
57.3 |
334.8 |
207.1 |
L |
17.3 |
109.5 |
217.9 |
この結果から、すべての表示デバイスの相対エネルギー強度はS帯域(ブルーライトを含む領域)よりもM帯域のほうが強いことがわかりました。個別のエネルギー強度よりもスペクトル強度(=頻出量)による影響です。すなわち、ブルーライト領域だけしか減光できないレンズを使用してもM帯域の減光がされなくては目の眩しさが残ることに他なりません。
バックライトにLEDを使用した液晶の多くがB-Y/LEDなのですが、ピークがブルーとしても相対エネルギー強度がM帯域の50%程度であることから、ブルーライト用メガネをかけても目が疲れる人は単なるブルーライト用メガネでは問題が解決できないことが理解できました。
●HEV(高エネルギー可視光線)対策レンズの時代に...
ここで注意することが1つあります。紫外線が目に見えなくても目に有害なことが知られています。今回計算したS領域の相対エネルギーが小さいとしてもそれは総和であり、紫外線に近いS帯域の質(高散乱性)を考慮すると決して楽観できません。
特に最近話題になっている411nm光は眼の中の黄斑部に存在するルテインに酸化ストレスを与え、損なうことで黄斑変性やその他の深刻な眼の病気との因果関係がドイツのドレスデン工科大学FUNK教授によって発表されました。
この事実から高エネルギー可視光線(380~530nm)に対応した高分子光学素材MR6が三井化学で開発され、UV420以下を完全カットするレンズが発売されています。ですから現在の眼鏡市場に出回っている「旧式ブルーライト用メガネ」ではブルーライトの420nmをカットできず、完全に時代に取り残されたものとなっております。
目の疲れないパソコン用メガネをお探しならばブルーライトのみにこだわらず、HEV対策された最新レンズ並びに、当店が推奨する光の全波長に対応したPC用メガネをお勧めします。そのためには対応程度や価値観をあまり下げないほうが良い...つまり安易な選択でなく、本物のメガネの専門家に相談することが最善です。ブルーライトとPCメガネのご相談は是非とも当店にお尋ね下さい。
メガネショップ J-EYE
当店ではパソコン用メガネはIT系に精通したSS級認定眼鏡技術者資格取得者がご相談に応じておりますのでかなり専門的な内容のご質問もお受けしております。 |
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